28 材料比率の意味 数字の規則性を理解

 奈須は、物品管理のプレゼンを行ってから、材料費のことが気になっている。大木さんが、セミナーの時に、材料費率が病院によって、違うといっていた。セミナーの時は、聞き流していたが、先日から気になっている。そこで、石崎に聞いてみようと思い、いつものように、夕方の医事課を訪れると、医事課の職員が帰ろうとしているところであった。

奈須:よかった。まだいた。

石崎:良くないよ。変えるところだよ。今日は、これから医事課の送別会だから、手短にしてよ。

奈須:病院によって、材料費率が違うのは、なんで?

石崎:材料費率を簡単に説明すると、式8)のようになる。これって、何か気付かない?

奈須:人件費率の計算式と同じだよね。

石崎:そうそう。同じだよ。

奈須:ということは、医薬品や医療材料をたくさん使ったり、高額な物品を使う病院が高くなるのね。

石崎:そんなところだよ。心臓血管外科は、ペースメーカーやカテーテルなんか、すごく高価だよね。整形外科もインプラントの値段知ってる?すごく高いんだよ。そういう材料を使う診療科を抱えている病院は、材料費率が高くなるんだ。それと、医薬分業をしている医療機関は、材料費率が低くなる傾向にある。これは、外来分の医薬品を仕入れないため、材料費用が少なくなるからなんだ。

奈須:わかった。ありがとう。あまり飲み過ぎないようにね。

 材料比率も人件費率も、費用と売り上げの関係である。これは、財務諸表のセミなあーでも勉強したことである。様々な管理に関する数字は、規則性があることを理解しつつあった。これまで、わからないことを何でも聞いていた自分を恥ずかしく思う奈須であった。